▲あわびの磯焼き


いわゆる有名人がひいきにしている店『とく山』から、
分かれてできたのでこの名があります。
表に大きな看板が出ているわけでもなく、
わかりにくい店ですが、
主人である野崎さんの料理の腕前と
人柄にひかれた客が集まる、知る人ぞ知る店です。
写真は、あわびに肝のソースをのせて焼いた、磯焼き。
貝のうまみに肝のコクとほろ苦さが加わって、
人に教えてしまうのがもったいないほどのおいしさです。
ソースには卵黄も入ってまろやかな口あたりで、
その名のとおり、磯の香りが楽しめます。
ほかにお造りや焼き物もおいしいのですが、
はっと驚かされたのはお茶漬け。
炊きたてのご飯を氷水で洗ってちりめんざんしょうをのせ、
冷たい水をかけて食べるもので、
真夏にこれに出会ったときは、
感動のあまり声も出なかったほどです。
献立はおまかせですが、
旬の味が次々にタイミングよく出されるのもみごと。
殻つきのはまぐりにごまだれを塗って焼く利休焼きや、
ふぐの季節には厚めに切ったふぐの身に、
あんこうの肝を味つけしてのせた焼き物などが好評。
もちろん、ふぐのお決まりコースもあります。
白身どんぶりは、ぶつぶつ切ったひらめに
あられ切りの山芋とオクラにわさびをきかせ、
卵黄と薄口しょうゆを混ぜて焼きたてのご飯にのせます。
書いているだけでつばが出てくる料理。
にこやかな笑顔に似合わず大胆な発想で
粋な料理を食べさせてくれる野崎さんには、
外国から帰ってくると成田からこの店に直行するという
ファンが多いのもうなずけます。

 分とく山 

東京都港区西麻布4-2-13八幡ビル3F TEL 03-3400-2968
営業時間 17:00〜22:30 土・日曜・祝日休 コース \15,000